皆様はご存じでしょうか、かつて「ナムコ」(現「バンダイナムコエンターティンメント」)が開発したシューティングゲームライド、『ドルアーガの塔』というアトラクションがあったことを。1990年に誕生し、革命的な技術で各地で大絶賛されたこのアトラクション。そして現存しないためもう決してプレイすることができない伝説のアトラクション。
本稿では、ネット上に存在している資料及び16年前当時中学生かつ2~3回しかやっていませんが実際にプレイしたことがある自分の曖昧な記憶を元に、この伝説のアトラクションの内容をまとめ、どのようなアトラクションであったかご紹介したいと思います。
○アトラクション「ドルアーガの塔」とは
1990年に大阪市の鶴見緑地で開催された「国際花と緑の博覧会」にナムコがアトラクションを出展(※1)。世界観は「同名のアーケードゲーム」をモチーフにしています。かつて富士急ハイランドに存在したアトラクション「シューティングコースター ゾーラ」(1987年~2010年営業終了)を手掛けたチームによって製作されました(※2)。ゲーム製作は「ナムコ」、ライド製作は「トーゴ」、造形は「アカツキ工房」が担当しています。
※1 これをきっかけにナムコは1992年に「ナムコ・ワンダーエッグ」を企画・開園。ゲームメーカーがテーマパーク事業に着手する形となり、その後、第2弾とし「ナンジャタウン」を1996年に開園させることになります。※2 「ゾーラ」もコースター全体はトーゴ製で、ゲーム部分はナムコが担当しています。そしてこのチームが次に手掛けた作品が、ナンジャタウンの「蚊取り大作戦」(現「爆裂!蚊取り大作戦」)です。また「アカツキ工房」はナンジャタウン全体の造形製作に深く関わっていました。
博覧会終了後は、上記の「ナムコ・ワンダーエッグ」に移設。内容は変更されていませんが建物の外観は博覧会のとちょっと違っていたと思います(こちらのサイトを参照)。そして同園が2000年12月31日を持って閉園、このアトラクションも解体されたため現存しません。
○本アトラクションの内容
まずブリーフィングルームにて、ストーリー及び注意事項を聞きます(2回目以降の方は聞かずにプラットフォームに向かうことも可能でした)。なおVTRには音声は収録されておらず、「映像に合わせてアトラクター(スタッフ)が直接内容を話す」という方式でした。非効率及びスタッフに負担がかかる方法ではありましたが、テーマパークとしてのライブ感を演出するのに一役買っていたと思います。
・ストーリーこの塔は悪魔「ドルアーガ」によって支配されている。ドルアーガは神の秘宝「ブルークリスタルロッド」を盗み、塔にモンスターを解き放った。神の巫女である「カイ」はブルークリスタルロッドを取り戻すため、塔に登るがドルアーガの魔力の前に敗れ、石にされてしまった。この国の王子、そしてカイの恋人でもある「ギル」はドルアーガを倒すため、そして恋人のカイを救うため黄金の鎧を纏った「ゴールデンナイト」となり、ドルアーガの塔に挑む。
こちらが乗り込むライド「ゴールデンライド」です。銃「魔法の剣」を持ち、モンスター(赤く光る的)を撃っていきます。
ライドは4人乗り(そのため混雑時には別の2組ずつが一緒に乗る相席乗車となることが多かった)で、各座席には安全バー、そしてスコアボードが付いています。スコアボードには「個人の現時点でのランク」は表示されるもののスコアは各ボードともライド全体の合計(個人のスコアは表示されない)という特徴がありました(※当時の「風適法」の対象になることを防ぐためと言われています)。
そしてこのゲームの特徴一つに「特定の条件を満たすとアイテムが手に入り、様々な効果を発揮する」というのがあります。これによって元のゲームのジャンルでもあるRPGの要素が取り入れられ、ライドシューティングゲームにさらなる深みを与えていました。
ゲームの成績は①中ボスの「ドラゴン(クオックス)」を倒す(かつスコア30,000点以上)、②ラストボス「ドルアーガ」を倒すの2つのミッションの成否により、下から「ブロンズナイト」、①成功で「シルバーナイト」、②成功で「ゴールデンナイト」と3つのランクに分かれると表向きではそう言われますが、実は「ゴールデンナイト」でさらに条件を満たして(あるアイテムを手に入れて)クリアすると「真のエンディング」になるので、正確には4つのランクがあることになります。