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「血手形の家」  <お化け屋敷>

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今年もオフィスバーン製作のお化け屋敷の1つが広島で一開催されます。昨年までは紙屋町にて開催されていましたが、今年の開催は広島の港町『呉』です(全体の企画自体はは昨年度までと同様、運営会社マグマワークスによるもの)。

このお化け屋敷のテーマはホラー映画等ではよく使われる、血で現された手形「血手形」、それにまつわる恐怖の物語です。

ストーリー

例によって、こちらは簡略版です。全文は公式サイトを参照。
この家に住んでいた一人の女性「真智子(まちこ)」、彼女は小さい頃から体が弱く事あるごとに家族や友だちを煩わせていた。「ごめんなさい、ごめんなさい……」というのが彼女の口癖だった。そして彼女にはもう1つ、親指が他の人より長いというコンプレックスがあった。そのことに彼女の両親は「親指が長い人は幸福を掴むという、きっとお前もその長い親指で幸福を掴むことになる。」と励した。

月日は流れ、成人した真智子は、陶芸教室の先生である男性と恋に落ちる。だが、彼も次第に真智子の過剰な気遣いが煩わしくなってくる。やがて彼は別の女性と付き合うようになり、真智子はそれは自分が悪いんだと思いつつ、彼の事が忘れられずじっとこの家で待ち続けていた。

ある晩、そんな不安定な関係の中の、ほんのちょっとした行き違いから、彼(真智子の恋人)は真智子を陶芸品で殴りつけてしまう。真智子は頭から血を流して倒れ、彼は自分のしたことに驚いて真智子を助け起こす。その時、真智子の血のついた手が彼の白いシャツを汚した。
そんな状況ですら、真智子は「シャツを汚してごめんなさい。血を出してごめんなさい」と誤り続ける。彼は心の底から恐怖を覚えた。その謝罪の声が絶えるまで、真智子の後頭部を殴り続けた…。

それからしばらくして、彼の胸に赤い痣が浮かんできた。それは見覚えのある親指の長い手の形になっていき、日を追うごとに首筋に近づいくるあの痣に、「いつか本当にこの手形で首を絞めて殺される」と彼は恐ろしくてたまらなくなり、ついに手形が首筋に達し、恐怖に耐えられなくなった彼は首を吊って自ら命を絶った。
最初、男性が真智子に惹かれたのは「陶芸に適している長い親指」であり、真智子はそれが両親に言われた「長い親指が掴んだ幸運」だと思っていた。しかし、本当に長い親指が本当に真智子にもたらした幸福は、自分の(長い親指の)手を彼の首筋に浮かべ、結果彼が自ら死を選んで"あの世で自分と一緒になれた"事だったのではないだろうか・・・。

上記の悲劇が起こった後、ある僧侶が憐れだと思い首についた手形を自分の手に移し、真智子の住んでいた家の障子に戻したが、それによって彼から引き離された真智子の思いは荒れ狂い、家の中で様々な怪奇現象を引き起こし始めた。どうか、この家に入って真智子の血手形を見つけ出し、そこに手を合わせて怨念をすくい取って欲しい。その怨念は、家の出口に置いてある清めの井戸にて浄化することができるだろう・・・。

お化け屋敷内容

このお化け屋敷にて来場者がやることは、「家の中に3ヶ所にある血手形に自分の手を重ねてくること」です。中はテーブルに食器が並べられていたり、畳の部屋やお風呂場など非情に生活感のある構成で、その中にて鏡やテレビ、襖など至る所に血手形があります。それに手を重ね合わせなければいけませんが、当然のごとく"何かが起こります"。血手形に合わせたとき現れるのが、上記のストーリーにある「真智子」なのでしょうか・・・。

中の造形物には「血で汚してごめんなさい」と書かれた貼り紙や、殺人があったかのごとく一面血しぶきがある部屋、そして男性の首を絞めている手が出てくるなどストーリーに沿った場面もたくさんあり、これはオフィスバーン製作のお化け屋敷を楽しむ共通のポイントですが、ストーリーをよく読むことで一層物語の世界を実感できます。

最後は出口にある井戸にて中の水に手を入れ、怨念を清めます。お化け屋敷の最後にやる作業ということで、特にオフィスバーンのお化け屋敷に入った経験のある方は嫌な予感しかしないと思いますが、それは実際に訪れた時のお楽しみということで…。

感想

今回のメイン作業が、「血手形に手を合わせると」いうことで、その時起こること(仕掛け)はなんとなく予想できていたのですが、予想できなかったその他の仕掛けの方が多くて相対的に全体の恐怖度を上げていましたね。そして、(オフィスバーンのお化け屋敷にて)お馴染みの仕掛けの中でいつもと違うパターンもあったので、それには驚かされました。
こう、上手い具合に人を驚かせること、そしてそれが嫌味にならず終わった後思い返すと笑えるような気分になれるのが、この(オフィスバーンの)お化け屋敷の凄いところなんだと思います。

余談

今回のお化け屋敷のストーリーは呉市豊町御手洗地区にある「若胡子屋」(わかえびすや)に残る『おはぐろ伝説』が元になっています。それは、ここに仕えていたある禿(かむろ、花魁見習いの幼女のこと)が上手くお歯黒がつかないことに腹を立てた先輩の花魁が、禿の口に煮えたぎったおはぐろを注ぎ込み死なせてしまった。その時禿は壁に手形を残したが、それは何度壁を塗り替えても消えなかったという。

なお、御手洗地区といえば、最近ではアニメ『たまゆら』の舞台であることでも有名ですね。町おこしイベントもいろいろ開催されているようです。

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