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「赤ゲットの幽霊」  <博物館明治村>

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愛知県にあるレトロテーマパーク「博物館明治村」で、今夏お化け屋敷イベントが開催されています。

特徴的なのはパークのメインである「明治時代の歴史的建築物」でお化け屋敷をするという他では真似できない『質感』があること、そして「それぞれ別タイプの演出があるスポットを巡る、回遊型お化け屋敷」という珍しい構成であること。お化け屋敷製作は「オフィスバーン」によるもので、同社のハイレベルな脅かし方も見所の1つです。

タイトルの『赤ゲット』とは「赤いブランケット」のことで、東京見物に着た旅行者がよく着ていたことから、赤ゲット=(地方・海外の)旅行者を意味する言葉でもありました。


お化け屋敷の物語も明治時代の恋物語で、親が決めた許嫁や駆け落ちなど時代を感じさせる内容で構成されています。

ストーリー

明治時代の東京。「須磨子(すまこ)」という女性が「公信(きみのぶ)」という靴職人と恋に墜ちた。だが須磨子には親が決めた床屋の「武智(たけち)」という許嫁がいた。須磨子は思い悩んだ末、全てを捨て公信と一緒に生きていく決意し、2人は駆け落ちを約束する。

だが駆け落ちの当日、約束の時間を過ぎても須磨子は来なかった。そしてそれからさらに時間が経ったあと、遠くから須磨子が駆け寄ってきたが、なぜか須磨子は「赤ゲット」を羽織っていた。公信は不審に思いながらも駆け付けてきた須磨子を抱き留めたが、須磨子はその腕の中で消えてしまった。公信の手は「血」で真っ赤に染まっていた。

須磨子は待ち合わせの場所に行く前、駆け落ちするが婚約者「武智」にばれてしまった。武智は怒りのあまり、剃刀を持って須磨子に襲いかかった。須磨子は必死に逃げたが履いていた下駄の鼻緒が切れて転倒、そこに武智のカミソリが突き立てられ、須磨子は大量に出血し息絶えた。あの日公信と会った須磨子は既に亡くなっていた、つまり幽霊であった。着ていたのは赤ゲットではなく着物が血で真っ赤に染まっていたのだ。

その状況下から、公信が須磨子を殺した犯人と疑われ投獄された。彼が言う「幽霊の話」など人々は信じず(当時、幽霊話は江戸時代の古い習慣が生み出したものの1つとされ、明治時代は「時代が変わった」という考えからそういった類を徹底的に排除するような思想があった)、公信は「神経(精神)に異常をきたした者」として病院に収容されることになった。
親が決めた相手ではなく本当に好きな人と生きる、かつての風習を捨て新しい時代の行き方を選んだ須磨子、だがそれを妨げたのは「下駄」という過去の時代の産物。そして公信は逆に時代が新しくなった故、幽霊の話を周りに信じて貰えず破滅への道を歩むことになった。時代の変化が皮肉的にお互いの自由を許さなかった、悲しき恋物語。そして須磨子は、「赤ゲットの幽霊」は今もまだ、この場所を彷徨っている・・・。

受付場所

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イベントのスタート地点(受付)は園内の一番奥(正門から見た場合)にある「金沢監獄」。この中で受付をします。イベントスタートは11時からですが、開園と同時に受付自体は行っており11時から順々に時間別の整理券が渡されます。
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イベント開始当初は特に整理券等は用意していなかったみたいですが、参加希望者が多かったからか開始1週間後でこのよう整理券方式になりました。1日に体験出来る(案内できる)人数は120組で定員に達し次第受付終了。大体いつも12時前までには定員になってしまうとのことです。8月土日に開催されるナイターイベント「宵の明治村」開催日は営業時間が延長されるためイベントの定員も200組になりますが、それでも15時前には受付終了になるので、「ナイターイベント目当て」の場合明治村自体には早めに行かないとこのイベントの体験は難しいかもしれません。

回遊するスポット

イベントで巡る建物は4つ、最初に貰える地図が参加賞になるため、各所でそれを見せて受付をします。

 峩眤監獄」(受付場所)

整理券の時間になり受付をした後、奥の監獄を巡ります。ここはかつて「公信」が収監されていた所でもあり、彼が残した手がかりを探しに暗い通路にて、一つ一つ独房を覗きながら進みます。独房からは怪しげな声が聞こえる他、突然中の囚人(アクター)が扉越しに襲いかかってくることも。

◆峭眦直熊写真館」

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写真館隣りにある暗室へ(画像は入口を開けて撮影したので明るいですが、実際は赤い照明だけで薄暗いです)。暗室にある写真は幽霊が映っている「心霊写真」もあります。

このスポットには特に演出等はなく受付スタッフすらいないのでフリーに入れます。


「本郷喜之床(きのとこ)」

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須磨子の婚約者「武智」が営んでいた床屋です。一組ずつ中に入って床屋の椅子に座り、そこで起こる出来事を体験。

以下反転:
椅子に座った後部屋が暗くなり、後ろから「武智」(アクター)が出現。耳元で囁いたり椅子を軽く叩く、首筋に物を当てるなど脅かし。亡霊らしい迫真の演技も見所です。


ぁ嵬掌轍葦曼(えいじゅ)病院」

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最後のスポットは衛戍病院(陸軍の病院)、神経異常者として収容された「公信」、そして須磨子が運び込まれた病院です。この場所は2部構成となっており、まずは公信の病室へ。看護婦(当時)の案内で暗い通路を進みます。病室ではベッドで寝ている公信に耳を近づけて話を聞いた後、彼の頼みで「靴」を須磨子の部屋まで届けることに。

前半が終わった後、渡り廊下を通って隣の病棟へ。入口前に信号があり、それに従って一組ずつ中に入ります。
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中では暗い廊下を進み、奥にある須磨子の病室へ。そこにある「赤ゲットが置かれたベッド」に靴を置いてくればミッション完了です。勿論、このイベント最強の脅かしがありますが・・・。

感想

このイベントの見所は上記に書いた通りですが、それに加え練られたストーリーとそれに合わせた演出が、歴史的建造物の質感とマッチして物語の世界観に非常に深く入り込めるような構成になっています。

ただし、各スポットの内容は短くアクター等「何かが出る」演出がメインでなので「お化け屋敷」らしくはないなというな正直な印象で、その点を考えると少々物足りないかもしれません。今回使用する建物がみんな「登録有形文化財」であるため、装飾や機器の搬入が難しくこのような構成になっているのもあると思います(当然それを前提で企画しているのだと思いますが)。

イベントとしてはかなりの人気企画で前述のよう早めに定員に達する傾向もあるので、出来れば開園と同時に受付に行った方が良いと思います。

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