※本イベントは2015年5/2(土)・3(日)限定の開催であり、現在開催は終了しています。
毎年5月に増上寺(東京タワー近くのお寺)で開催される仏教関係の体験が集ったイベント寺社フェス「向源」が開催されます。今年はそこに初めて「お化け屋敷」が設置され、その名もお坊さんも怖がるお化け屋敷「黒髪の綱の呪い」。製作はオフィスバーンであり、このイベント1週間前に開催された「ニコニコ超会議2015」に引き続いての担当です。本イベントはクラウドファンディングで運用資金を寄与していたのも話題になりました。
何も見えない暗闇を進むという「胎内めぐり」に似た要素をもち、またお化け屋敷のストーリー・演出を通して「(登場人物が)なぜ怨みを募らせたのか、このような状況にもしなったらどう考えるべきか」等の解説を聞き、学べるという仏教フェスのコンセプトに沿った内容になっています。
お化け屋敷会場まで
フェスの会場は上記画像にもあるよう「増上寺」の境内全体で行われますが、お化け屋敷が設置されるのは本道横にある「寺務所」内。こちらがお化け屋敷の入口。なんとなく文化祭っぽい雰囲気ですね。カーテン奥も看板やポスターといった装飾は一切無く、順番待ち用のスペースがあるのみです。このお化け屋敷は「何も見えない暗闇」を進むため、演出上中には一組ずつしか入れない完全入れ替え制です。1回の所要時間は7~8分はかかるため、恐ろしく回転の悪く、整理券で番号順に呼び出す方式を取っていました。それでも(列に並んでから)入るまでに20~30分はかかり、また上記のクラウドファンディングの特典としてお化け屋敷優先入場券が付いていたので、それも一般の列が進まない要因だったみたいです。
待っている間は、下記のストーリーの朗読が繰り返し流れます。
ストーリー
この寺には、髪の毛を編んで作られた「毛綱」が納められている。髪の持ち主は「清恵」という女性。彼女は幼い頃に両親を亡くし義理の父母のもとで下女のような生活を送り、一切の笑顔が消え誰も気づかないような存在であった。そんな彼女の元に、法要で1人の若い僧侶がやってくる。僧侶は清恵の髪を「きれいな髪の毛ですね」と言って褒めた。誰かに褒められるということは清恵とって初めての経験であり、彼女は自分の髪を大切に扱うようになった。だが義母はそんな清恵の様子が気にくわず、髪を切るように命じたが清恵は応じなかった。義母は戸棚から鋏を取り出し無理矢理髪を切ろうとし、揉み合ううちに鋏が義母の胸に突き刺さり義母は大量の血を流しながら息絶えた。
清恵は髪を長い三つ編みにすると根本から切り落とし、できた一本の毛綱を梁にかけると、自分の首に通し自らの命を絶った。この惨劇を目撃した義父は恐ろしくなり、その毛綱をこの寺に収めたという。
そんな曰く付きの「毛綱」が納められた寺では、毎晩奇妙な事が起こるようになる。夜になると毛綱がのたうち、まるで冥界へ引きずり込もうとしているかのよう、眠っている僧侶の足首に絡みつく。やがて毛綱は寺の奥の部屋に二度と暴れぬように鍵が掛けられ封じられた。
「あの僧侶に優しい言葉をかけてもらわなければ、このようなことにはならなかった。世の中の隅で笑顔もないまま暮らしていれば、このような苦しみに遭わなくて済んだ。すべてはあの僧侶の慈悲のせいだ。」憎くてたまらない、けれど恋しくてたまらない、毛綱の周りで起こる怪現象はそんな清恵の怨念がもたらすものなのだろうか?封印された部屋の中で、浮かばれない清恵の思いは今もなお強く渦巻いている・・・。
お化け屋敷内容
前述のよう、お化け屋敷内は一寸先も見えない「真の暗闇」であるため、夜光塗料が塗られたリストバンドを腕に付け、万が一の緊急用に防犯ブザーを持たされ、中に入ります。通路の真ん中に「黒い綱」があるので、それを手繰って進んでいきます。その「綱」こそが上記ストーリーにある「清恵の髪の毛から作られた毛綱」(という設定)です。中でやるミッションは、 ,泙査能藐える井戸の中に「僧侶の手紙」があるのでそれを拾う ∈埜紊泙膿覆爐函崋鵑鯆澆辰討い訐況叩廚いるので、その足下の下駄に手紙を置いてくる内部は基本的に真っ暗ですが、突如灯りが付いて死体等が浮かび上がったり、綱が引っ張られる、また暗闇からお化け(役のアクター)が耳元で囁く、お化けが灯りでを明滅させながら歩きいつの間にか近づいてくる、布団の上を歩くなど足下が不安定になったり綱の位置が低く屈む形になるなど暗闇ならではの脅かし演出が多様されています。
最後、お化け屋敷出口では「僧侶の手紙」の中身(を印刷したA42枚の用紙)を渡され、そこにはお化け屋敷ストーリーを監修した増上寺僧侶による「(登場人物が)なぜ怨みを募らせたのか、このような状況にもしなったらどう考えるべきか」の解説が書かれています。
感想
演出方法からしてこれまでのオフィスバーンのお化け屋敷にはないタイプの演出で新鮮でした。通常のお化け屋敷のように「突然現れて脅かす」のではなく「気配なくすぅーと近づいてくる」のが怖かったです。仏教フェス用のお化け屋敷ということで一般のレジャー施設ではなかなか設置は難しいものと思われるので、そういった意味でもこのイベントでしか体験できない貴重なものだったかもしれませんね。仏教フェス「向源」その他のイベント
仏教フェス「向源」はこのお化け屋敷だけでなく様々なイベントが開催されています。ただワークショップが中心で内容的にも気軽に体験できるというタイプではなかったですが(でもかなり盛況で満員が多数出ておりました)、飲食屋台等当日でも楽しめるものも。京都料理を集めた屋台で、「猪(のつみれ)汁」、「京風だし巻き卵焼き」、「筍煮」など。お値段は高めでしたが味はかなり美味しかったです。