ハウステンボスに昨年12月末オープンしたアトラクション(ゲームの王国関連)で、業界初となるSR(代替現実)技術を使用した、バーチャルホラーアトラクションです。ヘッドマスクを使った映像と特殊な演出で「今、見ている風景が現実か幻想か分からなくなる」体験、これだけ聞くと凄い体験ができそうな気がするアトラクション。
「日本の怪談屋敷」の1階部分を閉鎖・改装してオープンしました(そのため日本の怪談屋敷は規模を縮小して再オープン、詳しくは後述)。
受付を進むとは研究所内の待合室でアトラクションの開始まで待つのですが、非常に薄暗く不気味な雰囲気。隅の小さなモニターには「実験中狂ったように暴れだす被験者を、研究員が暴行を加えて静止させてる」様子が映しだされており、不穏な空気が広がります。ここで待っている間が正直一番怖いかもしれません。
アトラクションでは画像右のような白いガウンを羽織って体験ます。このガウンはアトラクションの演出のため必要な小道具となっています。
プレショー
本番前にアトラクションのストーリー等が流れるプレショーを。「研究所に入った時点で"貴方の意思"で実験に参加したと認識する」という意味深の事を言われた後、この研究所の「藤井所長」から研究内容についての説明を。この「藤井所長」は本アトラクションのSRシステムの開発担当で理化学研究所脳科学総合研究センターのチームリーダー「藤井直敬」氏ご本人の出演です。映像はカラーが不鮮明で時々ノイズが入る古めかしい(ように作られている)もので、「人間が見る夢を解析し、他人の夢を自分が見てるように体験できる」システムを開発したことと、それら実験の記録について。しかしこの映像に映っているのは…。
以下反転:
プレショーが終わると、アトラクションのメイン会場である実験室へ。
まず所長からして何かに取り憑かれたような、言ってしまうと見るからに「ヤバイ」人となっており、実験の録画では暴れだす被験者に謎の注射を打つ、役に立たない被験者は処分するなどこの研究所が普通でない事を示した内容になってます。前述のようこの所長が専門の役者ではなく「本当に研究の代表者」が演じていることが、逆に恐怖を引き立てます。藤井さんの役者顔負けの凄い演技力は必見です。 |
プレショーが終わると、アトラクションのメイン会場である実験室へ。
アトラクション本番
実験室は真っ白な壁に囲まれた無機質な部屋で、椅子が向かい合うよう円になって並んでいます。椅子に座ったら実験用マスク(ヘッドホンも一緒にある)を付けます。マスクの隙間ごしに"風景"が見えます。研究員(スタッフ)の実験開始の合図で、アトラクションスタート。夢を見る状態にするための催眠ガスの噴射、暗示にかかっているかのチェック。実験の先に待ち構えているのは…。アトラクションの仕組みについては、完全にネタバレになるので、知りたい方のみ以下を。
以下反転:
終わった後の出口にて実験中(アトラクション中)に何が起こったのか、簡単な解説があります。結論としては「このように、あなたの脳は99%騙された」という事を言いたいのかな。
マスクの隙間から見えてるのは実際の風景ではなくマスクに内臓されたモニターから流れる映像です。アトラクション中はこの映像をマスク視点のカメラの映像(自分の視点で見る現在の風景)と、予め作られた映像にシーン毎に切り替えることで、「現実と幻想が入り雑じる」様を作ります。お客がローブを着るのは作られた映像に切り替わるのを悟られないようにするためです。 |
終わった後の出口にて実験中(アトラクション中)に何が起こったのか、簡単な解説があります。結論としては「このように、あなたの脳は99%騙された」という事を言いたいのかな。
感想
確かに技術的には凄いというか摩訶不思議な体験ができるのですが、その仕組みについては察しがつくというか何となくでもわかるので、あまり驚きはしなく、むしろ何の捻りもないのに拍子抜けしてしまいました。ストーリー的にもこれからどうなる!?という所で中途半端に終わってしまうので、消化不良な感じです。扱っているテーマとしては既にある「監禁病棟」と同様、医療系の闇の部分というか気分が悪くなる内容なので、ストーリー的には怖いですね。何よりプレショーの「藤井所長」が本物の研究者だからなぁ・・・。ある意味それが一番怖い演出かも。
本来1回15分で1部屋8人×3部屋で24人体験できるはずですが、なぜかどんなに混雑していても1部屋しか稼働しない(1度に8人しか利用できない)みたいで、回転が悪く1時間程度の待ち時間になりがちです。空いている午前中の体験をお勧めします。
また、アトラクション本編のストーリーは部屋毎に異なるようです。オープン当初は1つの部屋しか使われておらず、3月上旬より2つ目の部屋が使われ始めた(2つ目のストーリーが公開された)らしいのですが、自分が行った日は1の部屋しか使われませんでした。
余談ですが「夢をコントロールする」、「自分がみたい夢を見れるような仕組みをつくる(明晰夢)」など夢に関する研究は実際に行われており、心的療法への活用や「みたい夢を楽しむ」という新たなエンターテインメントにならないかという取組みもあるようです。